女子DEATHヒーロー
 なぜか眼鏡をかけて白衣を着た佐々木の前に体育座りをするあたしと央太。
 佐々木は知的な雰囲気を醸し出しながら、眼鏡を少し上げた。

「というわけで、将君の晴天丸学園講座ー」

 パチパチと拍手をするあたしと央太。佐々木はどこからか持ってきたホワイトボードに絵を描いていく。
 佐々木は意外と絵がうまかった。生徒会長と葉月センパイだってすぐわかる。
 なんでこの2人?

「この学園には大きく分けて2つの勢力があって、2人のトップが居ます。はい、央太君」
 急に当てられた央太は慌てた。けど、答えられる。央太はそういう情報はいち早く手に入れるタイプだから。
 頭は悪いけど、そういうのは得意なんだよね。

「生徒会と不良集団」
「あったりぃー。ほい、飴あげる」

 飴……いいなぁ。って違う!
 勢力って何?生徒会は分かる気がする。生徒をまとめる人たちだもん。不良集団って……どういうこと?
「5年前までは3つの勢力だったけどねー」
 こんな浮き世離れした学園に……。浮き世離れした学園だから、か。だからこそ、生徒が分裂・対立する。
 
「絢灯ちゃん、2つのトップの名前は?」
 は?トップの名前なんて……あ、生徒会長は聞いた。けど、ヤンキーのトップは誰かも知らない。
「生徒会長の牧原大雅?」
 あったりー。とあたしの頭をなぜか撫でる佐々木。飴とか頂戴よ。
 頭撫でられても……。

「……ヤン長は知らないんだけど?」
 ヤンキーの長だから、略してヤン長ね。不良もヤンキーも一緒だよね。
 あたしの言葉に、央太は信じられないという顔をした。

「……知ってて一緒に居るかと思ったし!」
 何が?一緒に……?
 イヤな予感がする。ヤン長でもおかしくない人をあたしは知ってる。

「葉月……哉?」
 佐々木はニヤニヤした顔で当たり。と言った。

 めまいがすると同時に、やっぱりかと思う。あの強さに妙に勘がいいところ。少し話しただけのあたしでもわかるリーダーとしての品格が葉月哉にはある。
 ホワイトボードに葉月センパイ基、ヤン長の絵描いてあるんだからすぐ気付け、あたし!

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