女子DEATHヒーロー
 昼食を食べ終えたあたしたちはベンチでのんびりしていた。
 幸せ……。佐々木と央太が居なくて那奈が居るだけでこんなに心が平穏になるんだね……。
「でね、家の犬がね〜」
「うんうん」

 幸せすぎて倒れそう。今まで生きてきた中で一番最高な気分。
 話の内容が掴めないけど気にしない。那奈が飼ってるのは犬なのか猫なのかも分かんないよ☆
 あたしの理解力不足じゃなくて、那奈の話のぶっ飛び具合でね。

 家族の話をしてると思ったら、いきなり好きな食べ物の話になって、またいきなりペットの話になって、次に近所の話になって……ぶっ飛びすぎだ。

 まぁいいじゃん、そんなのさ!

 そんなあたし達(あたし)の前に誰かが来た。
「鈴木……絢灯さん?」
 声のした方を見ると、3人の女の子が立っていた。赤のリボン……。生徒会長の親衛隊だ。
 親衛隊に入ったら、生徒会長は赤のリボンとネクタイでヤン長はネクタイもリボンも無しになるらしい。
 ネクタイは男が入った場合ね。生徒会役員もそうらしい。

「あ、那奈とお友達なんだね」
 親衛隊の一人が、隣の那奈を見て笑顔で言った。

 今のは3年の麻子さんって言うらしい。那奈が教えてくれた。なんていうか……笑顔が爽やか。この人は本当に良い人なんだろうなぁって思う。

「あら本当。こんにちは」
 このおっとり口調は2年の優子さん。
「……こんな暗い子を仲間になんてしたくないわ」
 今のが1年の牧原佳奈子。名字の通り、生徒会長である牧原大雅の妹らしい。
 ちょっと失礼な子だ、この子。
 初対面でこれですか?

「那奈、絢灯を借りてって良い?」
 どうやら麻子さんは"ちゃん"とか"さん"をつけない人らしい。でも、イヤじゃない。
 それが普通って感じがする。

 ちょっと待って、今なんて言われた?あたしを借りる?

「……え?」

 反応が遅れた!何で生徒会長の親衛隊にあたしが?

「とりあえず、来てもらってもいい?」

 麻子さんに言われ、あたしはしぶしぶうなずいた。なぜ呼び出し?
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