女子DEATHヒーロー
 残ったのは、あたしと生徒会長と黒い人。

「はじめて?生徒会長の牧原大雅です。こっちは副会長の八木啓悟ね」
 あ、副会長か。あたしはとりあえず頭を下げた。目上の人に挨拶された時はとりあえず頭を下げとけ!って昔兄に言われた。
 はじめてって言われた時に違和感を感じたけど気にしない。なんか……あたしを試してるみたいなかんじに聞こえた。

 あたしの苦手なタイプだ。棘を隠してる生徒会長はあたしの知り合いの苦手な人より苦手だ。あの人はどんな人に対しても黒くて優しい。
 刺々しいけど、優しい。

「はじめまして。鈴木……絢灯です」
 あたしが言うと、生徒会長は微笑んだ。あたしも笑みを返す。

 売られた喧嘩は買う主義だから、あたし。

「単刀直入に聞くけど……鈴木先生達と関係ある?」
 わざわざあたしを呼ぶってことは……かなり疑ってる。
 佐々木にバレてから、不本意だけど拓兄と耀兄にお願いして色々手を回してもらったはずなんだけど……。
 生徒会長はかなり情報を手に入れようとするらしいから……もしかしてバレた?

「鈴木先生ですか?」
「どう?」
「どうと言われても……」

 はい、兄です。なんて言えない。キョウダイって知られたくない!
 知られたら……バレるかもしれないじゃん。あたしの本性。

「何でですか?」
 あたしが首を傾げて言うと、生徒会長は更に微笑んだ。
 あたしと生徒会長の間に流れる不穏な空気。
 ほんと厄介なのに捕まった。

「あの時、鈴木先生と一緒に居たのは君だろう?」
 生徒会長はさっきとは打って変わって真顔になると、そう言った。

 なんでバレてるの?

 あたしは動揺したのがバレないように、表情を崩さないように頑張った。前髪長くて良かった!

「あの時って……?」

 あたしは知らない。あの時なんて分からない。こうなったら……しらばっくれるしかない。「そう、知らないか……」

 目が……合った。
 感情が無いような目。何かを見透かされそうな……。

 逃げなきゃ!

 あたしが心の中で焦っていると、予鈴のチャイムが鳴った。
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