女子DEATHヒーロー
 神様……ありがとうございます!神様はあたしを見捨てなかったみたい。
 生徒会長が授業があるのに引き留めたりしないよね。生徒会長なんだし!

「あの、授業があるので……」
 あたしが控えめに言うと、生徒会長は微笑んだ。さっきの表情とは違う、周りも疑わない笑顔。
 輝かしい。超キラキラしてるっていうか、神々しいっていうか……。
 でも、作り笑顔なんだろうなぁ。
 あたしの危険センサーが鳴り続けてるし。

 生徒会長はあたしに一歩ずつ近付く。はっきりいってあたしは逃げたい。

「鈴木さん、ごめんね」
「いえ……」

 本当にそう思ってる……わけないか。失礼かもしれないけど……この人は危険だ!
 無理無理。近付いたら……バレそう。

「あの、じゃあ失礼します」
 あたしはスカートを握り締めて俯きながら会長の隣を通り過ぎようとすると、誰かに進行を妨げられた。
 前を見ると、副会長。……この人の存在忘れてた。
「通せんぼーなんちゃって」
 っていいながら、あたしの前に立ちふさがる。無口な人じゃなかったんだ……。

「悟」
「なにー?」
「静かにしてろって言っただろ?」
 だから静かだったわけね。

 副会長はあたしを見てヘラっと笑うと、どいた。

「あ、鈴木さん」
 あたしは頭を下げて生徒会室を出ようとしたのに、呼び止められた。

「君はどっちに着くの?」

 その言葉を言った時の生徒会長の表情は、あたしが見た中で一番黒かった。


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