女子DEATHヒーロー
「哉さん、好み変わりましたね」

 水色はあたしの顔をマジマジと見た。お願いだから眼鏡外すとかしないで……。かなり困るから。
 で、今何て言った?スリルすぎて聞こえなかった。

「1年の那奈ってやつがどストライクなんじゃないんすか?」
 な、那奈ちゃーん!そっかぁ……葉月センパイは那奈みたいなちょっとおバカな可愛い子がタイプかぁ。
 あたしもおバカ可愛いの大好きだ。

「そいつもこっち入ったらしいですね」
 ……那奈が葉月センパイのとこに?そっか、那奈はヤンキーが好みだったんだ。あたしはどっちも厄介だからオススメしない。でも、まだ生徒会長よりは良い気がする。わかりやすいから。
 だって、生徒会は生徒会なだけあってストレートじゃないもん。
 まだヤンキーたちの方があたしはまだいいと思う。

「いつ……ヤるんっすか?」

 水色はあたしから離れること無く言った。あたしが居る前で聞かないでください。友だちの性事情を聞きたくないから。那奈と会ったら確実に目をそらす自信がある。知っちゃってごめん、って心の中で謝る!


 葉月センパイは絶対答えるんだろうなぁって考えがあたしの頭を駆け巡る。聞きたくない……そうげんなりと思った時、あたしは2人から離れた場所に居た。
 水色の側から奇跡の生還。

 あ、あれ?水色が動いた……わけじゃないよね。
 無意識にあたしの体が動いてたらしい。かなり素早かったと思う。あたしは素早さも取り柄だからね。
 ……後悔してます。無意識とはいえ……怪しがられるじゃん。

「……」
「……」
「……」

 3人の沈黙。
 かなり逃げ出したい。

「あ、あの……えっと、えーっと、と、おトイレ行きたいので失礼しますっ!」

 あたしは逃げた。この素早さはトイレのせいだと言わんばかりに慌てて逃げた。

 それにしても……結局何が言いたかったのか分からない。
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