女子DEATHヒーロー
 眼鏡男子は起きあがろうとしたが、顔をしかめて起きあがるのを諦めた。
 あんだけ蹴られたんだもん……仕方ないよね。

「あなたは……?」
 眼鏡男子は顔だけあたしに向けると呟くように言った。
「正義のヒーロー?……っていうのは嘘だけど。立てそうにない?」

 あたしが言うと、眼鏡男子は力なく首を振った。

「ちょっと待っててね。今、保健室連れてってくれる奴が来るから」
 あたしが連れてってもいいけど……廊下を歩くとしたら、ウィッグかぶらないといけない。そんな子が男の子を担いでたらおかしいもんね。

「ねぇ、何であんなことされてたの?」
 風紀委員って言ってたけど……それだけでリンチはおかしい。風紀委員がリンチされるの自体がおかしいよ。
「僕が風紀委員長だから……かな」
「取り締まりでもしてるの?」
 その問いに、眼鏡男子基、風紀委員長は首を横に振った。

「風紀委員長って肩書きだからかな」

 おかしい。おかしすぎる。風紀委員長って……イジメられない感じがするのに。まぁ、この風紀委員長はイジメられオーラがあるけどさ……。
 なにもしてないのにいじめるなんて……意味わかんない。


「昔は風紀委員も生徒会と不良集団に匹敵するくらい力があったらしいんだけど……」

 今はそんな面影すらないよ。って苦笑しながら話す眼鏡男子。
< 55 / 134 >

この作品をシェア

pagetop