女子DEATHヒーロー
「いたっ」
 あたしの頭を襲ったのはどうやら、雑誌らしい。あはっ刺激的な雑誌ですこと。……エロ本を女の子の頭に投げる(しかも、ちゃんと筒状にゴムで止めて)バカは誰!
 お兄ちゃんに鍛え上げられてるあたしは痛くないけど、当たりどころ悪かったら死ぬし。
「絢灯、大丈夫……?」
 引き笑いをしてる生徒会親衛隊の方々と、あたしに背を向けてる生徒会メンバー。
 あたしが特に痛そうにしてないからだ!
「い、いたたたっ!角、角が」
「大丈夫!?」
 ようやく心配して駆け寄ってくれる麻子さんと、優子さん。佳奈子お嬢様はチラチラ遠くであたしを見ている。心配してくれてる?
「大丈夫です。石頭なので……」
「葉月……」
 生徒会長の声にあたしは慌ててそっちを向いた。
 そこには、葉月センパイと宵ともう一人。プラス親衛隊さんが。
 え、なに?抗争でも始まんの?

「麻子さん、さっきはどうもですわ」
「杏南……。元気?」
「……バカにしてますの?」

 ブリザード!葉月センパイと生徒会長もブリザードだし……。
「よ、暁」
「や、宵」
 同じ顔の二人が揃ってる!ああ……やっぱり双子かなぁ。
 でも、何で別々に入ってるんだろ?仲が悪いわけでもなさそうだし……。

 まぁいいや。逃げよう。

 あたしは見つからないようにソロソロ逃げた。つもりだった。
「絢灯」
 わぉ!流石、葉月センパイ。空気になったのに、あたし。

「あの、あたしは関係ないんで!」
 逃げたあたしの前に誰かが飛び出してきた。……あたしが飛び出したとも言う。
 そして、あたしが吹っ飛ばされた。このあたしが。

「あ、ごめんなさい!……絢灯ちゃん?」
 那奈ちゃん……どうしてあなたは無傷なの。ビックリだよ。あたしでも倒れたのに。
「大丈夫だよ、那奈」
 心配そうにあたしをのぞき込む那奈に笑顔で答える。泣きそうだもん、那奈。実際、平気だし。
 痛みはほとんど無いけど……吹っ飛ばされたのがショックだ。

「大丈夫、大丈夫だから……」
 あたしはパッと立ち上がると、歩き出した。早く離れたい。すぐに離れたい。巻き込まれる前に!
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