女子DEATHヒーロー
 こんなに走ったのはいつぶりだろ?央太がマジ切れした時以来かなぁ。ただ、面白くてからかっただけなのにマジで怒ってさ!
 あの時はちょっとだけ……ホントにちょっとだけ央太がコワかったなぁ。

 でも……あの時と今は全然コワサが違う。

 とりあえず、逃げられるだけ逃げようと走るあたしに、追いかけてくる葉月センパイ。

 かなりこわいです!
 待て!って言って言ってくれればいいのに、センパイは何も言わずに追いかけてくる。

 無言の恐怖だ。

 フードが外れないように押さえて走ってるけど……パーカーチョイス間違えたよ!
 どうしても髪の毛は見えちゃうし……死神と言われたあたしを見たことある人だったらバレるじゃん!黒のパーカーに金髪なあたしを見たら……。

 幸い、すれ違う人は不良じゃなかったし……あたしの後ろの葉月センパイを見て部屋に逃げていた。

 あたしもどこかの部屋に逃げたいし!っていうか、どうすればいいんだろ?


 あたしは階段に突き当たると、階段を飛び降りた。もう一度飛び降りようとした時、葉月センパイの仲間の水色の髪の人が目に入った。

 幸い、葉月センパイは見えてないらしく……あたしは華麗に階段を飛び降りると、水色の側を通り過ぎた。
 飛び降りた時、うっかりフードが外れたけど仕方ないよね!バッチリ目があったけど、水色は何も言わなかった。
 誰?みたいな目はされました。

「宵、そいつを捕まえろ!」

 追いかけられて初めての葉月センパイの声。通り過ぎててよかった!
「あいつ……死神?」
 水色の呟きを距離は開いてても聞き逃さない。バレた!

「え、あの暗い鈴木っすか!」
 あたし=死神が水色君の中で繋がったらしい。泣いても良いかなぁ!

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