女子DEATHヒーロー
 あたしと葉月センパイ+水色君の追いかけっこは延長戦までもつれ込んだ。どこからが延長戦かは分からないけど!
 寮一周コースであたしは満足だけど、センパイ達はそれじゃ嫌らしい。

 いい加減諦めてくれないかなぁ。あたしもそろそろ疲れてきたし……。

 イチかバチかでどこかの部屋に入ろうと、角を素早く曲がると入れそうな部屋を探した。

 無いけどね!誰かの部屋だし。

 困った……センパイ達が追いかけてくるし行き止まりだし!どうしよう?
 センパイ達の足音が近付いてくる。

 ……やるしか無いのかも。

 あたしが覚悟を決めて、二人が現れるのを待ちかまえていると、ドアが開いた。
 中から出てきたのは……どこかで見たことがある顔。


 長身の筋肉質な身体に獅子の鬣のような薄い金の髪。鋭い目つき。


 あの人だ。

「希夜……さん」

 兄2人とよく連んでた人。性格は黒いけど優しい人。
 希夜さんはあたしを見て一瞬目を見開いたが足音を聞くと、あたしの腕を引いて部屋の中に押し込んだ。

 葉月センパイたちはもう角を曲がっていた。



「よぉ、葉月。元気か?」
「……佐藤」


 閉まったドアに耳を当てて会話を聞こうと思ったけど、それに気付いたのか気付いてないかは不明だけど、希夜さんに扉を叩かれて断念した。

 減るもんじゃないのに。

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