この手を離さない
そんな、


切なそうな彼女を見たせいだろうか?


「わかったよ…」


彼女の方を見て


こんなことを言ってしまってた。



「えっ…?」


涙を溜めた目を俺に向け、彼女はその後の俺の言葉を待ってる感じがした。


「また捨てるなんて可哀相だろ…。だから、俺が引き取ってやるよ。」


「本当…ですか?」


「さっきも言ったけど、俺マンションに住んでてペット禁止だから、なるべく見つからないように飼うけど、そんな不安だらけの状況で良ければ引き取る。」


彼女は驚きの表情を見せた。


そうだろうな…


さっきは無理って言ったのに、


今 違う答えを言ってるんだから。


自分でもどうしてこんなこと言ってるのか、良くわからない。


「あ…ありがとうございます!」


「うわっ!?」


嬉しさを隠しきれなかったのか、彼女は俺に抱き着いた。


いきなりだったせいもあるのか、


どうかな?


ドキッと心が鳴っていた。
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