この手を離さない
「よくここを通るんですか?」


「あぁ…まぁね」


「元気…ですか?」


「あぁ、元気、元気。」


やっぱりこの子、俺に会いたかったのか?


「あのさ、俺を待ってたんだろ?どうしたんだ?」


とりあえず、冷静になって聞いてみよう。


「どうしても会いたくて…」


やっぱり!


「猫…、貴方に引き取ってもらった子猫は元気ですか?」


……は?


俺の聞き間違いだろうか?


「猫?」


「はい。あんなふうに強引に貴方に押し付けてしまって気になってたんです。」


彼女は真剣な目を俺に向けた。


どうやら、


会いたいのは


俺じゃなく


子猫ってことか。
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