この手を離さない
「ほら、寝てたから腹減っただろ?」


猫にミルクの器を置いたとたん、


彼女から勢いよく離れ


ミルクを飲みだした。


その飲みっぷりを見て


彼女は驚いてる。


「コイツ、すごく食欲旺盛なんだぞ」


「驚きました。私の家ではあまり飲んでなかったから。」


「大きくなったろ?」


「はい、びっくりです。」


「君もいつまでもそこに立ってないでコート脱いで座ったら?暖かいコーヒーいれたけど。」


「そんな、私は猫を見に来ただけなので失礼します。」


あたふたと彼女は両手を振り落ち着かなかった。


「いいからコーヒーを飲め。君の手震えてたぞ。あまり長居はさせないし、帰りはちゃんと送る。いいな?」


「…はい…。」


戸惑ってた彼女も、黙ってコートを脱ぎ大人しくコーヒーを飲んでた。


さっき彼女と外で会った時、


コートしか着てない彼女の身体が震えてたのを見逃さなかった。
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