この手を離さない
「いつからあそこに居たんだ?」


ソファーに座ってる彼女に聞いた。


彼女の視線は熱いマグカップに向いたまま、


ボソッと呟いた。


「お昼過ぎから…です」


ブッ!!


飲みかけてたコーヒーを吹き出し聞き直した。



「昼過ぎからって、一体何時間いたんだよ!」


「それは…」


俺に会ったのは夜の12時近くだったはずだから、


半日はそこにいたことになる。


ハァーっとため息が出る。


「あっ、でもこんなに待ったのは今日が初めてですから!」


慌てて言い訳をする彼女だけど…


「今日が、ってまさか前にも待ってた?」


「えっ、あの…」


俺の質問に彼女の様子が変わった。


勿論俺が全部聞き出したのは言うまでもない。
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