この手を離さない
はぁーっ……


呆れた…。


問い詰めたらあっさりと答えてくれたけど、


猫を引き取った次の日から一週間ずっと


あの場所で俺を待ってたんだって。


朝に待ったり、


昼に待ったり、


2時間くらいを限度にして待ってたらしい。


で、今日を最後にするつもりでいたんだって。


はぁーっ…


下を向いたままの彼女に


またため息を吐いた。


道理であの時寒そうにしてかやっとわかったよ。


「どうしても気になってて、会いたかったんです。」


「でも、そんなに待ってて普通は諦めるだろ?」


いつの間にかテーブルの上に置いてあるコーヒーは冷めかけてた。


「朝目が覚めたときに感じたんです。今日会えるって。それを信じて待ってました。もう少しで帰る所でしたけど…」


「俺が気が付いたから良かったけど、バカだよ。」


「でもこうして会えました。嬉しいです。」


うっ…。


なんかその笑顔


反則だ。
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