この手を離さない
恥ずかしさを隠すように


軽く咳をする。


「もうこれで安心したろ?猫は俺に任せて…」


「あのっ!!」


「は、はいっ!?」


この突拍子のない会話、


前にもあったな。


やっぱり心臓に悪いよ…。



「あの、これからもこうして猫に会いに来ても良いですか?」


「は?!」


「なんでもします!」


「そんなこと言われてもなぁ…」


「猫のエサも買って来ます!」


「だからさ…」


どんどん迫って来る彼女に困った俺。


「私の…初めての友達なんです…」


瞳一杯に涙を溜めて訴えてきた。


あーもうどうしたら良いんだよ。


なんなんだ この娘は。


チラッともう一度彼女を見る。


大きくクリッとした目を見ると心が罪悪感に駆られた。


しばらく考え


はぁーっ、と大きなため息を吐く。


「駄目とは言わない。言わないけど、約束がある。それを聞いてくれたら考える。」
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