この手を離さない
会話がない部屋は、とても静か過ぎた。


壁に掛けてある時計の秒針がリズムよく聞こえ、


シロの首に着けた首輪の鈴が優しい音を鳴らす。



女の扱いには馴れてるはずなのに…、



今真白にどう接すれば良いかわからない。



どんな顔を見せたら…



どんな会話をしたら…



しばらくの間、人と接してなかった証拠だなと痛感した。



「…………さい」



「え?」



真白の呟くほどの言葉を聞き逃さなかった。



「あの…もっと触って下さい…」



真白の大胆とも言える発言に目を丸くした。



彼女はどうしてそんな事を言ったのだろう?



今の高校生は結構大胆だな、と思う。



でも、一つわかることがある。



それは、



真白の耳が真っ赤になってること。



そのくらい勇気を出した言葉なのだと、俺には伝わった。
< 40 / 75 >

この作品をシェア

pagetop