この手を離さない
「あのっ、別に変な意味じゃなくて、その…」



真っ赤に顔を染め、あたふたと言う真白がだんだん愛おしく思える。



それは家族のようなそんな愛おしさ。



「…高崎さんになら、嫌じゃないので……」



自然と柔らかな表情になった。



「じゃぁさ、もう一度真白の髪を触ってもいい?」



「はい!どうぞ、喜んで!!」



「はははっ!その言葉変なの!」



「あはは、本当。変ですよね。」



俺達はしばらく笑いあった。



何年振りに心から笑った気がした。



もしかしたら真白との出会いは、



俺に最後の幸福をくれた神様のプレゼントかな、と思った。



年甲斐にもないけれどとわかっていながら……。
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