この手を離さない
うーん……。



真白にあんな事言われて改めて髪を触ろうとしてるけど、



緊張して出来ない。



胡座をして座っていたが何故か正座に座り直してる俺。



真白も改まってもう一度姿勢良く俺の前に座り直してる。



無言のままじっと見つめてる瞳が余計に緊張させた。



勢いに任せてぐちゃぐちゃに触ろうか?



いや、それは大人の俺のイメージじゃない!



やっぱり優しく触らないといけないよな…?



たったそれだけなのに出来ない。



その理由もわからない。



軽く息を吸い込んで、意を決した。



ゆっくり真白の髪に手を延ばす。



真白も気付いたのか目を閉じて待っていた。



あと少し…



あと少しで髪に触れる。



その時だった。



『ピンポーン!』



タイミング良くかわからないけど、



部屋にチャイムの音が鳴り響いた。
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