この手を離さない
部屋には小玉のようにチャイムの余韻が残ってる。


お互い我に返り、顔を赤く染めた。



何度か繰り返してるチャイムに俺は平静を装いながら、インターホンの方へ向かい画面を見た。



玄関にいるのは、



誠一。



俺は少しの間インターホンの受話器を取るかどうか迷った。



でも、真白の“出ないの?”と言いたそうな目を見たら、罪悪感に駆られてしまいそうだった。



何でだろ。真白には敵わないって思う。



クシャっと髪をかきあげインターホンの受話器を取った。



『やっと出たか!開けろよ恭。』



「今開ける。けど、あと5分位待てよ。」



『何でたよ?』



「いいだろ。じゃ」



受話器を置き、真白の方を見た。



俺が口を開く前に、真白は帰る支度を淡々としていた。



「急にごめんな。こんなふうになってしまって…」



何謝ってるんだろ俺。
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