この手を離さない
「あのぅ…。」



「ん?」



車の前で真白が呼び止めてきた。



「一度、家に戻っても良いですか?コレを置いて来たいんですけど…」



そう言い、俺に大きなバッグを見せた。


小柄な身体の真白には不釣り合いな大きなバッグ。


旅行…かな?


まさか、一人で…?



気になる。



真白に聞きたい、けど、切り出しにくい自分がいる。



「バッグなら車のトランクに入れるよ。」



「ありがとうございます。」



ニッコリと笑顔を見せた彼女からバッグを受け取った。



ギッシリと詰め込んでそうなくらい重い。



やっぱり、旅行なのかな?



後でさりげなく聞いてみよう、なんて思いながらトランクに積んだ。
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