この手を離さない

俺にはあの時、スローモーションのように感じた。


とりあえず今の状況を把握できた俺は車から降り、道路を見た。


そこには…


道路の端の方で横たわってる人影が見える。


「ウソだろ…」


一気に血の気が引いたが、走ってその人の所に行った。


「おいっ！大丈夫か？！」


軽く揺すり生死を確認する。


だが、


彼女は動かない…


余計に血の気が引いたが、ポケットにあった携帯電話を取り出し救急車を呼ぼうとした時だった。


「んんっ…」


「えっ！？」


急にビクリと彼女の身体が動き、ゆっくり目を開けた。


「生きてた…」


その様子を見て、俺は携帯電話を握りしめたまま力が抜けた。


「あの…私…」


ぽつんとぼやく彼女に俺は怒鳴った。


「こっのバカヤロウっ！危ないだろっ！咄嗟にハンドル切ったけど、死んでたかも知れないんだぞ！！」


状況がわかってない彼女はびくついて何も喋ることはなかった。


「怪我は？してないか？」


「あ…あの…大丈夫です。」


びくつきながらも小さな声で返事をする彼女。










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