この手を離さない
沈んで行った夕日をふたりで見送った。



視線に気付き振り向くと、真白は俺を見ていた。



笑顔の真白だった。



「どうした?顔に何かついてる?」



「いえ、久しぶりに高崎さんに会えたなぁ…って嬉しくて…。今頃思うなんて遅いですけど……。」



ふふって笑顔を見せてきた彼女に、俺は言葉も見つからずにいた。



時々 真白は17歳の子供の顔じゃなく、“女”の顔を見せてくる。



そのたび俺はあたふたしてしまうんだ。今も同じ、真白は“女”の顔を見せている。



「あのさ、どうしてここに連れて来たんだ?」



さっきから気になってたことを聞いてみた。



その答えに真白は優しい笑顔を返してきた。



名前の通り、混じることの無い真っ白な笑顔。
『素直』、『純粋』、『無垢』って言葉に当てはまるそんな笑顔を見せてくれるなんて……。



久しぶりに見たその表情に俺はやっぱり癒されてしまうんだ………
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