この手を離さない
「ここは、私の友達がいる場所なんです。」



「友達?」



話しが見えない俺は真白に問い掛ける。



「私…、“友達”って胸を張って言える人いないから…。だから辛い時、泣きたい時、何かに迷った時、いつもここに来て夕日に向かって話しかけるんです。」



「この場所は私の秘密の場所。大好きな場所。この夕日は、本当の私を知っている唯一の友達なんです。」



そんなことを言う真白は淋しそうにも感じるし、誰かに救ってもらいたい様な、俺にはそう見えて仕方なかった……。



「ここは、いつか高崎さんと一緒に来て欲しかった場所なんです。一緒にこの夕日を見たかったんです……」



「そっか…、ありがとう。あまり部屋から出る機会もないし、朝昼逆転な生活をしてると、夕日なんて見ることもないからな……。なんか嬉しいよ。うん、マジ嬉しい!!」



恭輔は子供のようにはしゃぎ、笑顔を見せた。



そんな彼の顔を見て真白は顔を赤く染め、視線を下に向ける。
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