この手を離さない
帰りの車の中は、シロの話しばかりだった。



今度首輪を買いに行こうって約束もした。



こんなに誰かと係わるなんて嫌だったのに、



今は真白とこんなにも係わることを好んでる。



心が癒される。ホッとする。



この関係がいつまで続くか分からないけど、大切にしようと運転しながら思った。




―――――――――――



「今日はごめんな、どこかに出かけてたんだろ?あんな旅行バック持ってたから。」



真白の家のそばで車を止める。



ちゃんと家の前まで送ると言ったのに、彼女はそれを拒んだ。
まぁ、それ以上俺も強引に出来ないから言う通りにしたけど……。



いつもは家の前まで行ってるから、あんな風に断られると、隠し事があるみたいで何だか腑に落ちない。


「私の方こそ、何も考えずに連れ出してすみません。でも会いに来てくれて嬉しかったです。」



「ぐ、偶然だから!たまたま近くまで来てたし、ついでに来ただけだし……」


今の俺、何でこんなにムキになって喋ってるんだろうか?


これじゃ子供と一緒だな………。
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