この手を離さない
「…………♪」



「あっ、この詩いいかも!」



自然と出た言葉(フレーズ)。



車を脇道に止め、



ダッシュボードから、ノートとペンを取り出す。



いつでも忘れないうちに書くことができるようにと、
ここにノートとペンは必ず置いてある。



忘れないうちに書こう………、



でも、この詩(ことば)を使う日が来るのだろうか――――



ペンを置き、言葉にならない虚しさがやって来た。



もう、曲を作る必要がないのに……



もう、バンドには戻らないのに………。



何年経っても、ノートに書き溜める癖は俺から抜けないままだった―――――――





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