君に染まる(前編)
○1章
最悪のファーストキス
桜舞う4月。
始まりの季節。
「みーおっ!!」
私の名前を呼ぶ声に振り返る。
生徒で溢れる校庭の中、人混みをかきわけて走ってくる子に笑顔を向けた。
「楓ちゃん。おはよう」
岬楓。
小学校からの私の親友。
「今日からいよいよ花の女子高生だね!」
「そうだね」
嬉しそうにする楓ちゃんに私も思わず笑みがこぼれる。
星条学園高等部に入学した私、百瀬未央は今日から高校生活が始まる。
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