君に染まる(前編)
「それだけは絶対嫌!!」
「なんでそんなに嫌がんの?」
「じゃあ楓ちゃんは付き合えるの?」
「だってあたしタイプじゃないもん」
「あ…そうですね…」
楓ちゃんの好みは可愛い男の子。
獅堂先輩みたいに
男の中の男って人はタイプじゃないか。
放課後。
新入生歓迎会を行う為
各学科の委員長は講堂の掃除をしていた。
「じゃあ後は俺やっておくから、
百瀬さんはゴミ捨てたら帰っていいよ」
野田くんにそう言われたあたしは
かばんを持ったまま
講堂の横にある体育館裏のゴミ捨て場に
向かった。
ゴミを捨て終え帰ろうとした時、
「…みゃあ」
どこからか聞こえてきた猫の鳴き声。
声のする方を見ると
可愛い三毛猫が
講堂裏の方へ歩いていくのを見つけた。
のら猫?迷いこんできたのかな…?