君に染まる(前編)
気になって追いかけると、
またどこからか猫が現れた。
最終的に5~6匹ぐらいになった猫が
向かった先には、
「きゃあっ!」
ものすごい数の猫がいた。
20匹…いや、30匹ぐらいの猫が
うじゃうじゃと塊になってる。
特に猫嫌いではないけど
さすがにこの数は…。
「未央?」
猫に圧倒されていたあたしは
その声に顔をあげる。
そこには両手に大きな紙袋を抱えた
芹澤先輩がいた。
「何してるの?」
「ね、猫を追いかけたらここに…」
「ふーん?猫好き?」
「そういうわけじゃ…
先輩こそ何してるんですか?」
紙袋から小皿を次々と取り出す先輩に
思わず苦笑い。
「ミルクだよ」
そう言うと、
今度は紙パックの牛乳を取り出して
小皿に注いだ。
「座れば?」