君に染まる(前編)
「え?あ…失礼します…」
遠慮がちにその場に座る。
「…猫好きなんですか?」
「別に。寄ってくるだけ」
「猫に人気なんですね」
「猫だけじゃなくて動物はなんでも。
そういうオーラが出てるらしいんだ」
そういうオーラ…どんなオーラだろう…。
「大変だね」
「…え?」
「創吾。気に入られちゃったんだって?」
「…なんで知ってるんですか」
「部屋で宣言してたよ。
『未央は俺の女にするから』って」
せ、宣言って…。
「あの…獅堂先輩って
あたしのこと好きなんですか?」
「知らない」
「じゃあなんで
『俺の女になれ』なんて…」
「未央のこと気に入ったからでしょ?」
「気に入ったって…」
あたしのどこを気に入るんだろう…。