君に染まる(前編)
「え、ちょ…どこ行くんですか!?」
「部屋に決まってんだろ」
「部屋……!?…い、嫌です!」
「俺の女だろ!言うこと聞け!」
「先輩の女になったつもりは…
だいたい、なんであたしなんですか?」
「あ?」
「あたしのこと、
好きでもなんでもないんですよね?
なのに『俺の女になれ』なんて…」
「…ってかお前、
まだ舌と腕の詫びしてねぇだろ。
なのに逃げんのか?」
え?
「お詫び…しましたよね?」
「してねぇ」
「パンあげたじゃないですかっ」
「あんなの詫びにはいるかよ、
バカだろお前」
「そんな…」
「泣きながら渡してくるから
仕方なく受け取っただけだ。
それぐらい分かれ」
分かんないよ…めちゃくちゃだこの人。
「いいから来い」
「でも、今日は用事が…」