君に染まる(前編)
「そんな嘘通用するわけ…」
先輩がそう言いかけた時、
Plululu~♪
先輩の携帯が鳴った。
「誰だよ…」
舌打ちをしながら携帯を取り出した。
…あたしの腕は掴んだまま。
「…分かったよ。
戻りゃいいんだろ戻りゃあ」
そう言って乱暴に携帯を切ると、
あたしの腕を離した。
「急用だ、今日は見逃してやる。
その代わり明日の午前は空けとけよ」
「なんでそんな…」
「じゃ、気をつけて帰れ」
「え、ちょっ…」
止める間も無く
背を向けて歩いて行った先輩。
あたしの意見…無視?
「未央ちゃん?」
いきなり名前を呼ばれ我にかえる。