君に染まる(前編)
「やる。新しいの買えよ」
「け、結構です!洗えばまだ使えますし…
っていうか、こんなに高くないんじゃ…」
「いいから」
「いいですっ」
「いいから!」
「いりません!」
なかなか受け取らないでいると、
お札を握ったまま
あたしの頭にぽんっと手をのせた。
「悪かったな」
そのまま頭の上にお札を置いて
校舎を出ていってしまった。
「なんで獅堂先輩が謝るんだろうね?」
「…分かんない」
頭に置かれたお札を取りながら
上靴に視線を戻した。
先輩が犯人…なんて、ありえないよね?
こんなことするなんて考えられないし、
する理由も分からない。
じゃあ…なんで謝ったの?
次の日。
今度は上靴の中に
大量の画びょうが入れられていた。