君に染まる(前編)
「え…」
「俺のこと
優しそうな先輩とか思ってたんでしょ?」
「あ…いや…」
「いいよ別に。
結構勘違いされるんだよね、
見た目と名前のせいで」
「…優しくないんですか?」
「全然。俺、他人に興味ないもん」
うわー…すごいギャップ…。
「っていうか…何してたの?
さっきのⅢ類の奴らだよね」
「あ…えっと…」
なんて説明すればいいのか迷っていると、
「未央!」
突然誰かに呼ばれた。
声のする方へ顔を向けると
息をきらして裏庭に入ってきた
獅堂先輩がいた。
そのままあたしの方へ歩いてくる。
「ど、どうしたんですか?」
「……お前の…友達に…聞いた………
未央が…先輩に連れて行かれた…って…
大丈夫か?」
「あ、はい」
腰に手をあてて呼吸を落ち着かせながら
ほっとした表情を浮かべると、
芹澤先輩に視線をうつした。