君に染まる(前編)


「創吾が言ってたの。
『未央の上靴がファンの奴等のせいで
ひどいことになってた』って」



「なんで獅堂先輩が知ってるんですか?」



「それは知らないけど、
がらにもなくすっごく心配してたな」



「…心配?」



「創吾が女の子を心配するなんて
今まで無かったからさ、
驚いたのなんのって」



けらけら笑いながら
足の包帯を巻きなおす。



「よっぽど好きなんだろうね、
未央ちゃんのこと」



「す、好き!?獅堂先輩があたしを!?」



「気に入っただけだって言ってるけど、
創吾の態度を見る限りでは
好きだと思うよ?」



「…なんであたしなんですかね?」



「そうね…あえて言うなら、
創吾を嫌がる未央ちゃんの態度かな?」



芹澤先輩も同じこと言ってた…。



「単にタイプってのもあると思うけどね」



「タイプ!?…あたしが、ですか?」



「うん。なんていうのかな…
ふわふわしてて、小動物みたいで、
守ってあげたくなるような可愛らしい子?
仲のいいあたしから言わせれば
創吾はそういう子に弱いと思うの」



ふ、ふわふわ?小動物?


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