君に染まる(前編)
急に先輩の口がとまった。
あたしを自分から離すと、
「いや…うん…そうだよな…そっか」
1人で勝手になにかを納得。
「…獅堂先輩?」
首をかしげると、ちらっとあたしを見た。
そして、あたしの首に腕を回し、
さっきとはうってかわって満面の笑み。
「未央、お前はもう俺のもんだ」
「…はい?」
意味が分からないんですけど…。
「胸にこんな傷のある女、
男だったら嫌だろ?」
「はあ…それで?」
「だから俺がもらってやる」
…はい!?
「こんな傷のある女
誰もよりつかねぇだろうな~…
そしたらお前一生独身だぞ?」
「で、でも、
これくらいなら跡にはならないんじゃ…」
「いや、ちょっと残るかもしんねぇな…
うん、絶対残る」
「さっきと言ってること違いません?」