君に染まる(前編)
毎日のように会いに行くものの、
なかなか首をたてにふらない未央。
たいして関係も変わらず、
あえて言うなら知り合いから友達に
昇格しただけっていうか…。
前ほど嫌がられてはないけど
ちゃっかり警戒されてるし。
でも、強引にキスしたら
ちょっと拒むだけで受け入れんだよな…。
ああー…分かんねぇ…。
「創吾が1人の女の子に
こんな苦戦するとはね…」
頭を抱える俺に静かにそう言った美紅。
「好き?未央ちゃんのこと」
「…分かんねぇ」
「なによ分かんねぇって」
「だからその…好きとか嫌いとか…
そーいうごちゃごちゃした感情
さっぱり分かんねぇんだよ」
頭をがしがしとかいて、
タバコをくわえた。
「ふーん…
じゃあさ、
未央ちゃんのどこが気に入ったの?」
「あ?」
「未央ちゃんのどこを気に入って
『俺の女になれ』って言ってんの?」
「どこって…」
口から煙を吐き出し首をひねる。