君に染まる(前編)


「俺のこと拒んだ女なんて初めてだし…
弱そうに見えて意外としっかりしてて…
でも、なんかほっとけねぇっていうか…」



だめだ、うまく説明できねぇ。



「それは“好き”とは違うの?」



「だから、
その“好き”が分かんねぇんだよ」



イライラしながらまたタバコをくわえた。



「ってかさあ?あたし思うんだけど…」



そう言って、俺の顔を覗きこむ。



「創吾の中の“気に入った”って…
“好き”って意味なんじゃない?」



は?



「なに言ってんだお前」



「ちゃんとした恋なんて
したことないから
“好き”って気持ちが分からなくて…
思わず“気に入った”って
言っちゃったとか」



“気に入った”と“好き”が同じ?



美紅の言葉に首をひねる。



…ん?ちょっと待て…とゆうことは…。



「俺、未央のこと好きなのか?」



「なんであたしに聞くのよ、
あんたの気持ちでしょ」



んなこと言われても…。



「分かんねぇもんは分かんねぇんだよ…」


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