君に染まる(前編)
「あ、未央ちゃん」
美紅の言葉に勢いよく顔をあげた。
「え?」
「ほら、あそこ」
美紅の指さす方向には
大きな袋を持って
体育館の方へ歩く未央の姿。
「これやる」
持っていたタバコを美紅に渡して
慌てて立ち上がった俺。
「え、ちょっと!」
美紅の呼ぶ声なんて気にせず
部屋を飛び出した。
「みーおっ」
「きゃっ!」
後ろから抱きつかれて焦る未央。
「あ…獅堂先輩、こんにちわ」
俺だと確認すると小さく頭を下げた。
「なにしてんだ?」
「えっと、ゴミ捨てです」
「ゴミ捨て?」