君に染まる(前編)


「はい、クラスで文化祭の準備をしてて」



そう言う未央から
大きなゴミ袋に視線を落とした。



「持ってやるよ」



「え?い、いいですよっ」



ゴミ袋を奪った俺の腕を
必死に掴む未央の手。



「俺が持つって言ってんだ、
遠慮せず甘えろ」



「でも、悪いんで…」



「いいから」



俺の腕を掴む未央の手をはがし、
スタスタと歩く。



そんな俺の横に申し訳なさそうに並んだ。



「獅堂先輩のクラスは
文化祭でなにやるんですか?」



「知らね」



「知らねって…
参加しないんですか?文化祭」



「興味ない」



はっきりそう言うと、ぼそっと呟いた。



「…さすが獅堂先輩」



「あ?」



「…なんでもないです」


< 153 / 337 >

この作品をシェア

pagetop