君に染まる(前編)
「はい、クラスで文化祭の準備をしてて」
そう言う未央から
大きなゴミ袋に視線を落とした。
「持ってやるよ」
「え?い、いいですよっ」
ゴミ袋を奪った俺の腕を
必死に掴む未央の手。
「俺が持つって言ってんだ、
遠慮せず甘えろ」
「でも、悪いんで…」
「いいから」
俺の腕を掴む未央の手をはがし、
スタスタと歩く。
そんな俺の横に申し訳なさそうに並んだ。
「獅堂先輩のクラスは
文化祭でなにやるんですか?」
「知らね」
「知らねって…
参加しないんですか?文化祭」
「興味ない」
はっきりそう言うと、ぼそっと呟いた。
「…さすが獅堂先輩」
「あ?」
「…なんでもないです」