君に染まる(前編)
「何を言ってるのかまったくまったく分からないんだけど。ちゃんと説明してくれる?」
「あなた誰よ!私達はこの子に用があるの!」
「未央が怯えてるから私が話し相手になってあげてるんでしょ?」
「先輩に対してその態度はなによ!?」
私を囲んだまま楓ちゃんと先輩達の言い争いが始まった。
「か、楓ちゃんも先輩方も喧嘩はやめ…」
ガッターーーーーン!!!
急に響いた大きな音。
そのせいで辺りが一気に静まった。
囲まれてるせいで見えないけど、たぶん教室の机かイスが倒れた。
「…るせぇんだよ」
静まり返った中で聞こえてきた低い声。
「そいつが教室入れねぇだろ。さっさとどけろお前ら」
…この声…聞き覚えが…。
そう思い記憶をたどっていると、教室の入り口にいた先輩達が道を開けてくれた。
ゆっくり教室に足を踏み入れた瞬間、
「え…」
開いた口が塞がらないとはこのことだろうか。
目の前の光景に頭がついていかない。