君に染まる(前編)


「未央になんか言われたの?」



「な、なに言ってんだよっ」



「だって…
今の創吾が変なこと言い出したら
未央絡みって考えるのが普通でしょ?」



優の言葉に
「そっかー」と納得する美紅と卓。



「未央ちゃん真面目だから
きっとタバコとか嫌いだよね」



「今まで
未央ちゃんと一緒だったんでしょ?
その時にタバコ吸う人嫌いとか
言われちゃった?」



けらけらと笑う美紅に図星をつかれ、
ヤケになりビールを全部流しこんだ。



「とにかく!タバコはもう吸わねぇ!!」



ぐしゃっとつぶした缶をゴミ箱に捨て、
もう1本飲もうと
冷蔵庫に手を伸ばしたその時、



「ストーーップ!!」



美紅が俺の腕を掴んだ。



「タバコのついでに酒もやめない?」



「あ?」



「未央ちゃんになにか言われたせいで
タバコやめるってことは、
未央ちゃんに嫌われたくないんでしょ?」



「う………」



「じゃあ酒もやめないと、ね?」



そう言った美紅は、
上機嫌で美紅専用の冷蔵庫に
俺の酒を移動し始めた。


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