君に染まる(前編)
そう続けようと思った言葉は
美紅に胸倉を掴まれたことで途切れた。
「未央ちゃんに好かれたいんでしょ?」
不気味な笑顔に引きつる俺。
「だったら
未央ちゃんにふさわしい男になれるよう
努力しなさいよ」
「な、なんで俺が
女に合わせなきゃなんねぇんだよ!」
「じゃあこのまま
なにも進展せず終わっちゃっていいの?」
「そんなことしたって
進展する保障なんてねぇだろ」
「そんなことないよ、ね?たっくん」
俺から視線をうつした美紅に
うんうんとうなずく卓。
「元々顔はいいんだから
イメチェンしたら
もっとかっこよくなるって」
「そうしたら未央ちゃんも
創吾くんにドキドキしてくれるよ」
意味深に笑う2人は、
「「どうする?」」
双子ならではの息のぴったり具合。
そんな2人の後ろに見える優は
他人事のように笑っていて…。
追い込まれた俺はつい、
「じゃあ…頼む」