君に染まる(前編)
いろいろ?
「それに、
未央の体から微かだけど
タバコの匂いがする」
そう言われ、
慌てて匂いを確認するけど
自分では分からない。
「そっか、そういうことか…」
「…なんで笑ってるんですか?」
「いや?ちょっと、ね…」
肩を震わして笑っていた先輩は、
ズボンのポッケに手をつっこむと、
その手をあたしに差し出してきた。
「これあげる。小さいからすぐ溶けるよ」
先輩の手の中にあったのは小さなアメ。
「口直しにジュース飲むより
こっちの方が効くと思う。
相当甘いから、このアメ」
「ありがとうございます…」
…なんで分かったんだろう?
あたしがジュースを買った理由。
少し疑問に思いながらも
アメを口に入れた。
「でもすごいね、未央」
「?」
「酒よりタバコ。ってぐらいの創吾から
タバコを奪えたんだから」
「??」