君に染まる(前編)


いろいろ?



「それに、
未央の体から微かだけど
タバコの匂いがする」



そう言われ、
慌てて匂いを確認するけど
自分では分からない。



「そっか、そういうことか…」



「…なんで笑ってるんですか?」



「いや?ちょっと、ね…」



肩を震わして笑っていた先輩は、
ズボンのポッケに手をつっこむと、
その手をあたしに差し出してきた。



「これあげる。小さいからすぐ溶けるよ」



先輩の手の中にあったのは小さなアメ。



「口直しにジュース飲むより
こっちの方が効くと思う。
相当甘いから、このアメ」



「ありがとうございます…」



…なんで分かったんだろう?
あたしがジュースを買った理由。



少し疑問に思いながらも
アメを口に入れた。



「でもすごいね、未央」



「?」



「酒よりタバコ。ってぐらいの創吾から
タバコを奪えたんだから」



「??」


< 169 / 337 >

この作品をシェア

pagetop