君に染まる(前編)
「おまけに酒まで…」
そう言うと、
また肩を震わして笑いだした。
「なんの…ことれすか…?」
アメを舐めてるせいで
上手くしゃべれない。
「よっぽど未央に惚れてるんだろうね、
創吾の奴」
「!?」
あ…アメ、飲みこんじゃった…。
小さいアメで良かった…
と、安心するあたしをよそに
先輩は話を続ける。
「女遊びも無くなったし、
前より大人しくなったし、
最近楽しそうだしね?」
…楽しそう?
それは…あたしと出会ったから?
もしそうならすごく嬉しいけど…。
「…獅堂先輩は…
あたしのことなんて好きじゃないですよ」
「え?」
「“好き”なんて…
言われたこと無いですから…」
優先輩から視線をそらし、
まだ未開封のジュースの缶を握りしめる。
「でもそれは…」