君に染まる(前編)
ブー…ブー…
優先輩の言葉をさえぎるように
あたしの携帯が鳴った。
携帯を開いたあたしは、
通話ボタンを押しかけて指をとめた。
知らない番号…。
「出ないの?」
「あ、でも…」
携帯から先輩に視線をうつした時、
電話が切れた。
「どうしたの?」
飲みかけの缶コーヒーを片手に
あたしの側に近づいてきた先輩。
すると、再び携帯が鳴りだした。
「出なよ」
「し、知らない番号なんです」
「んー?」
目を細めながら携帯を覗きこむと、
「かして」
あたしの手から携帯を奪った。
「もしもし、どちら様?」
わわっ、出ちゃった…。
「なんだ…は?なにそれ。
そんなことで怒んないでよ」