君に染まる(前編)
美紅先輩?
そういえばこの前交換したっけ…。
『んなことどーでもいい。
今すぐ部屋に来い!』
「え、なんで…」
『いいから来い。いいな?すぐだぞ!?』
「ちょっ…」
プー…プー…
…切れた。
「創吾なんだって?」
「…今すぐVIPルームに来いって」
「VIPルーム?ああ、部屋のことか」
飲み干した缶コーヒーをゴミ箱に捨て、
くすくすと笑った先輩。
「早く行ってあげなよ」
「でもあたし、文化祭の準備が…」
「きっと待ってるよ?」
そう言ってにこっと笑った先輩は、
そのまま背を向けて歩いていった。
言われた通りVIPルームに来たあたし。
文化祭の準備も気になるけど、
獅堂先輩に逆らったら後が怖そうだし…。