君に染まる(前編)
ゆっくりVIPルームの扉をノックする。
そのままドアノブに
手をかけようとしたその時。
バンッ!!
勢いよく扉が開いた。
よけきれなかったあたしは
扉に頭をぶつけてしまった。
「うお!!」
うつむいて頭をさすっていると、
上から聞こえてきた声。
「わ、悪い!大丈夫か!?」
その声で獅堂先輩だと分かったあたしは、
「だ、大丈夫です…」
頭を押さえたまま顔を上げた。
けど。
「…え?」
目の前にいたのは
いつもの獅堂先輩じゃなかった。
金髪だった髪は落ち着いた茶髪に。
ジャラジャラだったアクセサリーも
シンプルに。
服装も前よりきちんとしてて…。
「し…獅堂先輩?」
一瞬、誰だか分からないほどだった。