君に染まる(前編)
先輩のファンにつけられた傷。
その傷をなぞり、じっと見つめる先輩。
そんな先輩を
不思議に思ったのもつかの間。
反っていたあたしの体を
簡単に引き寄せた先輩は、
おもむろに唇を重ねた。
何度かキスを交わすと、
「…甘っ」
唇を離し小さくつぶやいた。
「お前なんか食った?超甘ぇぞ口の中」
そう言いながら顔をしかめる先輩。
…もしかして、さっきのアメ?
優先輩、相当甘いって言ってたし…
あたしは甘い物好きだけど、
やっぱり男の人って苦手なのかも…。
先輩から顔をそらし、
口を押さえたままそう考えていると、
「…別にいいけど」
「え?あ…っ」
口を押さえるあたしの手をはずし
再び唇を重ねた。
あたしの後頭部をしっかり押さえ、
さっきよりも激しく。
「はっ…んっ…」
何度も何度も角度を変える先輩に、
絡まってくる舌に、ただ流されるだけ。