君に染まる(前編)
身に起こったことを理解するより早く回りを取り囲んでいた先輩たちの断末魔が聞こえてきた。
「きゃああああああ!!!」
「いやああああ!!」
やっと思考が追いついた時、私はまた、目の前の先輩にキスをされていると認識する。
意味不明を通り越して何も考えられない私は体が固まって動けない。
触れるだけのキスをした先輩はゆっくり唇を離してさっきよりも更に不気味に笑った。
「これから楽しみだな、未央?」
その瞬間…私には血の気が引く音が聞こえた。
まさかこの先輩と…なんて…。
この時の私に想像できるわけがなかったから。