君に染まる(前編)


気付けばあたしはソファーに押し倒され、
あたしの上に先輩がのしかかる。



苦しくて…思わず先輩のシャツを握ると、
一瞬止まったキスは更に激しさを増した。



全然力が入らなくて…
シャツの中に入ってくる先輩の手も
払うことが出来ない。



もうだめ…頭がくらくらして…。



意識が飛びそうな中で
先輩の手が背中に回ったことに
ぴくっと反応した時だった。



ブー…ブー…



あたしの携帯が鳴った。



スカートのポケットに入れてたせいか
足にバイブの振動が伝わり、
飛びそうだった意識が戻ってくる。



ブー…ブー…



「……先輩っ…」



首筋に舌を這わせていた先輩は
意識がもうろうとするあたしに
目を細める。



「何?」



「どいて…くれませんか?」



「あ?」



「あの、携帯が…」



ブー…ブー…



今気付いたのか、
鳴り続ける携帯が入っている
スカートのポケットに
視線をうつした先輩。


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